2006年03月28日

<御所車>

♪  香に迷う 梅が軒端に匂い鳥、花に逢瀬を待つとせの
      明けて嬉しき懸想文(けそうぶみ) 開く初音のはずかしく
     まだ解けかぬる薄氷 雪に想いを 深草の百夜も通う恋の闇
       君が情けを仮寝の床の 枕片敷く夜もすがら



   [解説]

   嘉永(1848〜1854)の頃に盛んに唄われた。
   早春をうたいあげ、深草少将の百夜車の故事を持ってきて
   恋心のゆかしさを描いている。

  軒端   :軒のそば 軒の端
  匂い鳥  :鶯
  仮寝   :うたたね
  片敷く  :衣の片袖を敷いて淋しく一人で寝る
  懸想文  :恋文
  夜もすがら:夜のあいだずっと
posted by 美きえ at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月02日

<梅にも春>

♪  梅にも春の 色を添えて 若水汲みか 車井戸
    音もせわしき 鳥追いや 朝日にしげき 人影を
     若しやと思う 恋の欲
   遠音神楽や 数とりの 待つ辻占や ねずみ鳴き
    逢うて嬉しき 酒機嫌
     濃茶が出来たらあがりゃんせ ささ 持っといで
 


 若水   :立春の早朝(現在は正月の元日)に 汲んで用いる水
 鳥追い  :農家における年中行事・正月の14日、15日に行うお祭り
 しげき  :数が多い
 遠音神楽 :遠くに聞こえる神楽
 辻占   :占い
 ねずみ鳴き:ねずみのような声を出す廓では吉兆としたもので 
        何か嬉しい時にはこれを真似する
 濃茶   :抹茶の分量を多くして湯に立てて呑む
posted by 美きえ at 11:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする